January 29, 2006

すごいニュース!どうなるの鉄鋼メーカー

おそらく、多くの方は気にされていませんが、個人的にすごいニュースがありました。

鉄鋼メーカー再編の動きです。


鉄鋼世界1位のミッタル、2位アルセロールに買収提案

鉄鋼世界最大手のオランダのミッタル・スチールは27日、同2位のアルセロール(ルクセンブルク)に対して総額186億ユーロ(約2兆6000億円)で買収を提案したと発表した。

買収計画が実現した場合は、粗鋼生産量が日本の年間生産量に匹敵する1億トン超の超巨大鉄鋼メーカーが誕生することになる。

ミッタルの提案は、現金と株式交換を組み合わせた内容で、ミッタル側は「提案内容はアルセロールの株主にとって魅力的な内容であり、友好的に協議していく」との意向を示している。しかし、アルセロール側が反対する可能性もあり、買収計画が順調に進むかどうかは不透明な要素も多い。

この買収が成功した場合、新統合会社は東欧などに強みを持つミッタルと欧州地域に強いアルセロールとの
統合された巨大鉄鋼会社となり、世界の鉄鋼市場の再編に影響を与えることも考えられる。
(2006年1月28日1時53分 読売新聞)


実は以前、鉄を作るのに必要な鉄鉱石などの資源の多くは世界的メジャーが独占していると書きました。
たとえば日本ではあまり有名でないかもしれませんが、
リオドセ
リオ・ティント
BHPビリトン
の鉄鉱石3大メジャーで、世界の鉄鉱石輸出の約80%を占めています。

ちなみに、リオドセ株のチャートはこちらです。
http://finance.yahoo.com/q/bc?s=RIO&t=5y&l=off&z=m&q=l&c=%5EGSPC,%5EIXIC,%5EDJI
きれいな右肩上がりです。


では、鉄鋼メーカーはどうでしょうか?

日本だけでも新日鉄、JFE、住友金属、神戸製鋼とあります。鉄は国家政策とも関連しているのでなかなか簡単に合併できない困難があります。

それでも、川上、川下が合併を繰り返す中、世界の鉄鋼業界はここ数年の相次ぐ企業の合併・買収(M&A)で、勢力図が過去10年とは大きく塗り替わりました。日本でもNKKと川鉄がJFEになりました。新日鉄と住金、神戸製鋼もアライアンスを結んでいます。

2002年にフランス、スペイン、ルクセンブルクの鉄鋼大手が合併してアルセロールが誕生、韓国のポスコや新日本製鉄を抜いて粗鋼生産量世界一となりました。

その後、ミッタル・スチール(本社・オランダ)が米大手のISGグループを買収して、粗鋼生産量で世界一に立ちました。1976年設立のミッタルは、インドの小メーカーから、世界14か国の19メーカーを傘下に収める巨大グループに急成長しました。年間売上高は約310億ドル(約3兆4100億円)、ラクシュミ・ミッタル会長は個人資産が
250億ドル(約2兆7500億円)と、企業買収の余力は大きく、買収を続けると考えられていました。

なお、ミッタル会長はビル・ゲイツ会長、ウォーレン・バフェット氏につぐ、世界で3番目の大金持ちです。

ご参考
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世界長者番付:
11年連続でゲイツ氏1位 米誌
ビル・ゲイツ マイクロソフト会長

 【ワシントン木村旬】米経済誌フォーブスは10日、05年版の世界長者番付を発表し、
米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が資産総額465億ドル(約4兆8000億円)と11年連続で世界一の富豪になった。
 米有名投資家のウォーレン・バフェット氏が440億ドルで5年連続の2位。
3位は、鉄鋼世界最大手ミッタル・スチール(オランダ)のラクシュミ・ミッタル会長(インド出身)で、鋼材価格の上昇を追い風に、62位だった前年より188億ドル増の250億ドルに急膨張した。

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フォーブス・アジア版が12月15日、今年で2回目となるインド人富豪番付40人を発表した。
この番付によると、ミッタル・スチール(Mittal Steel)を筆頭に、世界最大の鉄鋼コングロマリット「LNM」を率いるラクシュミ・ミッタル(Lakshmi Mittal)氏が資産200億ドルでトップの座を維持、IT大手ウィプロの創始者であるプレムジー氏が同110億ドルで続いた。3位と4位は、リライアンス兄弟が占めている。選ばれた40人の総資産は1,060億ドルで、昨年の610億ドルから約74%増加した。また、このトップ40に入るには、最低でも5.9億ドル(約700億円)の資産がないとダメで、40人中27人は10億ドル以上の資産を有している。
ちなみに、中国の富豪40人の総資産は260 億ドルで、インド富豪40人の総資産の約4分の1。

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鉄鋼メーカーについては、このような合併を行い以前に比べて集約されてきてはいるものの、いまだ、メーカー数が多いという指摘があります。昨今の中国不安についても、中国は中小の鉄鋼メーカーが多くありすぎるので集約させるために大手が強引な値下げを繰り返しているからということもあります。

このように、世界的に見て鉄鋼メーカーはいまだ十分に統合されているとはいえません。


地理的に考えて、また生産量が超巨大なので、鉄鋼業界としてはいいのでしょうが、「鉄は国家なり」の面もあるので、インド人会長の買収案にアルセロール側は反対するだろうと思っていました。

インターネットの記事では、確かに快く思ってないようです。


鉄鋼最大手ミタル買収提案「敵対的」・アルセロールが声明

 【パリ=安藤淳】鉄鋼世界2位のアルセロール(ルクセンブルク)は最大手ミタル・スチール(オランダ)による買収提案を巡り、29日に緊急取締役会を開き対応を協議する。30日午後にパリで記者会見を開く。同社はミタルの提案について「敵対的であり、事前の話し合いや相談もなかった」との声明を出した。ミタルの提案を拒否する公算が大きい。
 ミタルの買収提案には雇用への影響を懸念するルクセンブルクやフランス政府も関心を寄せており、政治問題に発展する可能性もある。
 アルセロールはフランス鉄鋼大手ユジノールがスペイン、ルクセンブルクの鉄鋼メーカーと合併して発足。ルクセンブルク政府は同社の株式の5.6%を保有する最大株主で、週明けにはユンケル首相がミタルのラクシュ・ミタル会長に会うという。
 フランスのブルトン経済財務産業相も、ミタルの提案について「敵対的な手法が使われたことに懸念を覚える」と不快感を示した。

はたして、日本の年間生産量に匹敵する1億トン超の超巨大鉄鋼メーカーが誕生するのでしょうか?

もし誕生すれば日本が誇る新日鉄やJFEがいくら高級鋼材がつくれるといっても、「数は力」の理屈から言えば大きな波に飲まれてしまうかもしれません。

どうなるのか、非常に興味深いです。

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